算定基礎届の「報酬」とは?残業代・通勤手当・賞与の扱いを解説

社会保険の算定基礎届を作成する際に、特に間違いやすいのが「どこまでが報酬に含まれるのか」という点です。

「残業代は含める?」
「通勤手当は対象?」
「賞与は含まれる?」
「現物支給はどうなる?」

こうした疑問を持つ給与担当者の方も多いのではないでしょうか。

算定基礎届では、“実際に支払われた報酬”をもとに標準報酬月額を決定します。
そのため、報酬に含めるべきものを誤ると、社会保険料にも影響が出てしまいます。

この記事では、算定基礎届における「報酬」の考え方や、残業代・通勤手当・賞与などの扱いについてわかりやすく解説します。

目次

社会保険における「報酬」とは?

社会保険でいう「報酬」とは、労働の対償として会社から支払われるもの全般を指します。

名称に関係なく、

  • 給料
  • 手当
  • 賃金

など、継続的に支給されるものは原則として報酬に含まれます。

また、現金だけではなく、現物で支給されるものも対象になる場合があります。

算定基礎届で報酬に含まれるもの

まずは、算定基礎届で報酬に含まれる代表例を見ていきましょう。

基本給

もっとも基本となる給与です。

月給・日給・週給など支払い方法に関係なく、労働の対価として支払われるものは報酬に含まれます。

残業代・時間外手当

残業代も報酬に含まれます。

4月〜6月に残業が多かった場合、その分標準報酬月額が高くなる可能性があります。

特に、

  • 建設業
  • 運送業
  • 介護業
  • 飲食業

などは、繁忙期によって残業時間が大きく変動するケースも少なくありません。

「一時的に忙しかっただけなのに、社会保険料が上がった」というケースもよく見られます。

通勤手当

意外と見落とされやすいのが通勤手当です。

社会保険では、

  • 通勤定期代
  • ガソリン代
  • 交通費

なども原則として報酬に含まれます。

「非課税だから社会保険では対象外」と勘違いされることがありますが、税法上の扱いと社会保険上の扱いは異なります。

各種手当

以下のような各種手当も、継続的に支給されている場合には報酬に含まれます。

  • 住宅手当
  • 家族手当
  • 役職手当
  • 資格手当
  • 勤務地手当
  • 夜勤手当
  • 宿直手当

名称ではなく、「労働の対償として継続支給されているか」で判断されます。

現物支給も報酬になることがある

社会保険では、現金以外の支給も報酬に含まれる場合があります。

これを「現物給与」といいます。

代表例としては以下があります。

  • 通勤定期券
  • 食事
  • 社宅
  • 自社製品の支給

「現金で支払っていないから対象外」というわけではありません。

報酬に含まれないもの

一方で、以下のようなものは原則として報酬に含まれません。

年3回以下の賞与

一般的なボーナスです。

算定基礎届には含めません。

出張旅費

実費弁償的な性質があるため、通常は報酬に含まれません。

退職金

継続的な労働の対価ではないため、報酬対象外です。

慶弔見舞金

結婚祝いや弔慰金など、恩恵的な支給は報酬に含まれません。

解雇予告手当

労働の対価ではないため、原則として報酬には該当しません。

「これは賞与?報酬?」で迷うケースも多い

実務では、

  • 決算賞与
  • インセンティブ
  • 歩合給
  • 報奨金

などの扱いで悩むケースも少なくありません。

特に、

  • 毎月継続して支払われているか
  • 年4回以上支給されているか

によって扱いが変わる場合があります。

給与の名称だけで判断せず、支給実態を確認することが重要です。

4〜6月だけ給与が高い場合は注意

算定基礎届は、4月・5月・6月の報酬をもとに決定されます。

そのため、

  • 繁忙期
  • 決算対応
  • 新年度対応
  • 一時的な残業増加

などが重なると、実態より高い標準報酬月額になるケースがあります。

業種によっては、この時期だけ給与が高くなることも珍しくありません。

場合によっては、「年間平均による算定」が認められるケースもあります。

算定基礎届は“報酬の判断”が重要です

算定基礎届では、

  • 何が報酬に含まれるのか
  • どこまで対象になるのか

を正確に判断する必要があります。

特に間違いやすいのが、

  • 通勤手当
  • 残業代
  • 現物給与
  • 賞与との区別

です。

「給与ソフトで自動計算しているから大丈夫」と思っていても、設定や入力内容によっては誤った内容で届出されるケースもあります。

社会保険料は従業員負担にも直結するため、不安がある場合には社会保険労務士へ相談しながら進めると安心です。

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